2011年10月01日

科学者達

マヤ「ああああああああああ!」

ミサト「どしたの!」

マヤ「はやぶさの化学スラスター全損!」

ミサト「何ですって!」

マヤ「更に燃料ガスが漏れ出してます!」

リツコ「まずいわねそれ。宇宙でガス漏れはつまり」

マヤ「機体が凍りつき始めてます!」

真田「ヤバいぞ、アンテナの角度だけでも維持できんのか!」

マヤ「・・・はやぶさ、応答ありません。完全に通信断絶」

リツコ「通信断絶で失敗て、のぞみの二の舞じゃないの」

ミサト「ここまできて何て事なの!」



川口「真田・・・どうでる」

真田「もはや待つしかありませんな。こういう時の為に自動的に態勢を制御するよう作ってある」

ミサト「つまり?」

真田「はやぶさ自身である程度復旧、制御するはずだ。姿勢が安定すればヤツが送信してくるだろう」

リツコ「この事態を想定してたってわけ?」

真田「まさかな、惑星間空域での行方不明イコール消失なのでな。少しいじっていたのさ」

川口「ならばビーコン通信に切り替えろ。何としてもはやぶさの位置を割り出すんだ!」
 

マヤ「ビーコンでの回線、不安定ですが繋がりました!」

ミサト「生きてたのね!」

マヤ「被害状況とイトカワタッチダウンの詳細は送られてきましたが、未だ居場所を特定できません」

リツコ「ともかく、通信さえ確保していれば何とかなるわ。何とかしてみせるわ」

川口「被害状況は」


マヤ「はい・・・くっ、再び通信断絶。ビーコンすら繋がりません」

川口「まずいな。ビーコンが使えないとなると、どうする真田」


真田「大丈夫です。姿勢制御していれば、いずれアンテナは地球に向きます
   そこを捉えればいいんです」

リツコ「だけど、どうやって」

真田「不眠不休の総力戦に決まってるだろ。最大低周波から最大高周波の範囲で全てのチャンネルを探るんだよ。はやぶさの現在のチャンネルに合致して尚且つアンテナが地球に向いていればキャッチするはずだ」

マヤ「あまりに原始的すぎます。ざっと計算しても半年近くかかる作業です」

真田「だから?」

マヤ「だからと言われても・・・」

真田「嫌なら俺一人でやるし」

ミサト「副司令一人にさせるわけに行きません。総司令含め全員で当たりましょう」

川口「・・・イヤいいけどやるけどね。でも偉いさんだから忘れんなよ」




翌日




マヤ「はやぶさ、低周波域反応ありません」




一週間後

リツコ「今日も見つからないっか・・・」



二週間後


真田「こうも放置されっぱだと機体の損傷が心配だな」


三週間後

ミサト「どこなの。。いったいどこにいるのよ」




一ヵ月後


川口「年も明けたぞ・・・」





2006/01/23


マヤ「ん、今の20秒だけ異常ノイズです」

リツコ「解析して!」

マヤ「はやぶさです間違いありません!」

真田「よし! 場所と状況を送信させろ!」

マヤ「それが、以後30秒は断絶。どうやら50秒周期の20秒しか送信できないようです」

ミサト「20秒・・・か。ノイズぐらいしか送れないわけね」

川口「いいから状況の送信させろ」

マヤ「20秒でやりとりなんて無理です」

リツコ「いえ大丈夫。1秒以上も余裕があるわ」

マヤ「マジすか!」

リツコ「嘘」

ミサト「おいいいいいい」

リツコ「でもなんとかやってみるから、少し時間を頂戴」




その後、スーパープログラム送信にて20秒の連絡報告に成功

結果
バッテリー残量0
11あるバッテリー中4台が使用不能
酸化剤も残量0 

動力はイオンエンジンとその燃料たるキセノンガスが残り僅かあるのみ



ミサト「ぜ、絶望的状況だわ。。これじゃ地球まで帰るなんて不可能じゃないの」

真田「うろたえるな。まず翼を太陽に向けソーラー充電しろ」

リツコ「翼を太陽に向ける動力となる電力がないのよ」

マヤ「技術屋てバカなんじゃないですか」

川口「真田ぁ」

真田「まだキセノンガスが残ってるだろ。それを放出して姿勢を変えるんだ」

ミサト「ガスの残量は僅かしかないのよ!」

真田「うるせえ! 他に方法あるかよ! ガスしか残ってないだろ!」

マヤ「技術屋てバカじゃないですか? 噴射角度が全然足りません 前には進んでも横回転なんて無理です」

真田「俺はバカじゃなく常に最悪の事態を想定する男だ。こんな事もあろうかと、噴射口に少し角度をつけておいた」

リツコ「なんという素敵ネガティブ思考! 第一のハードルをあっさり越えてきたわ!」  

川口「よし真田の言う通りにしろ。電力を確保しないと話しにならん」

リツコ「でもできません。凍りついていたバッテリーに急速充電すれば、最悪爆発します」

マヤ「悪くてもショートして残りのバッテリーが全損します」

ミサト「絶対絶命ってわけか・・・」

川口「予備を使え」

リツコ「予備・・・と言いますと」

川口「古河電池の予備回路を組み込んでいる」

真田「古河の予備か! あれならば繊細に充電しよるわ!」

マヤ「微弱充電の予備を組み込んでいたなんて、総司令もなかなかのネガラーですね」

川口「時間はかかるが、やむえまい。すぐに作業を開始してくれ」



少しでも温度が上昇すれば充電OFFを繰り返し、二ヵ月後、受電完了




はやぶさ「ようやく、帰れるの、かな」

カプセル「いやあ死ぬかと思いましたネエ! 満身創痍てやつですね!」

はやぶさ「ところで、今日は、何年何月、かな?」

カプセル「ちょっと、ボケてるんですかあ? 2006年9月ですよ」

はやぶさ「ああ、ダメ。帰れない」

カプセル「何言ってるですか。帰りますよ忘れ物はございませんか」

はやぶさ「違う。地球とイトカワが最接近するタイミング、もう、過ぎてる」

カプセル「ふーん。じゃあ次のタイミングで行きますか。何ヶ月後なの?」

はやぶさ「三年」

カプセル「はあ?」

はやぶさ「三年、待たないと、次はない」

カプセル「ちょww壊れるってwww石の上じゃないですよここは真空世界ですよ!」

はやぶさ「・・・・・・おやすみなさい」





三年後

2009年11月






マヤ「はやぶさ、地球帰還軌道に完全に乗りました」

リツコ「長かったわね。ようやくあの子達が帰ってくるのね」

真田「よくもまあイオンエンジン四台中残一台で頑張ってくれた」

ミサト「このまま、何事もなければいいのだけど」

マヤ「!」

川口「何だ!」

マヤ「どうやらイオンエンジン残一台が停止したようです」

真田「何だと!」

ミサト「前に、進めないじゃないの!」

リツコ「もう少しだってのに!」

ミサト「総司令、いかがなさいますか」

川口「・・・・・・」

リツコ「川口さん!」

川口「真田、意見あるか」

真田「ホイールなどと違ってエンジンの代替はありません」

川口「分かりきってた解答など求めていない」

真田「はやぶさの自動修理を待つしかないかと・・・」

リツコ「はやぶさの自動修理プログラムでエンジンを直す確立は0、000000001%ね」

マヤ「オーナインですね。奇跡が起きる確率よりも低いです」

ミサト「それでなくとも、あの子のAIには経年劣化でガタがきてるはずだわ」

川口「真田」

真田「・・・・・・」

川口「真田、あるだろ何か」

真田「・・・・・・一つ間違えば、はやぶさは大破します。自動修理を」

川口「その方法を言え」

真田「・・・・・・一晩下さい。できるかどうか、可能性を考えてきます」

川口「一晩だけだ」



真田邸



真田「・・・・・・」

嫁「どうしたんですか。お仕事順調じゃないんですか」

真田「俺はエンジンを四つ作った」

嫁「はい知ってますよ」

真田「「実はそれぞれ名前を付けている」

嫁「あれ、何て名前ですか」

真田「俺、お前、子供達の名だ」

嫁「ふふ、私たち一家は元気にしてるのですか」

真田「それが全滅した」

嫁「それは大変ですねえ。直せないですか」

真田「一つだけ方法がある。最初にへばった新品同様の俺の部品と、比較的元気なお前の部品を使って一つのエンジンとするんだ」

妻「子供達には手伝わせないのですか」

真田「あいつらはもうダメだ。俺とお前を合体させるしかない」

妻「可能なんですか、そんな事?」

真田「可能ではあるが成功確立は低い。はやぶさが一つでも手順を誤ればドカンだ」

妻「それは怖いですねえ」

真田「このまま放置でも何かのはずみで直るかも知れない。修理の賭けに出れば
俺のせいではやぶさが吹き飛ぶかも知れぬ。どうすればいいのか。。」

妻「大丈夫ですよ。私たち、いつも一緒に乗り越えてきたじゃないですか」

真田「乗り越えてきた、か」

妻「私とアナタのエンジンなら相性抜群に乗り越えますよ」

真田「――JAXAに行く」

妻「今日はもうお休みなんじゃないんですか」

真田「決心が鈍らないうちに行く!」


川口「AエンジンとBエンジンを、つまりニコイチを敢行するわけか」

真田「はい。もしもの為にダイオードでエンジン同士を繫いでおいたのが生きました」

ミサト「どんだけネガティブ用心してんですか副司令!」

マヤ「しかし、正確緻密なプログラム送信で正確な手順を行うのが前提で且つ、動くかは定かではありません」

リツコ「まずテストを繰り返して精度上げてからでないと不可能ね」

真田「テストなんぞしてるヒマあるか! さっさと言われた通りのプログラム組めや!」

マヤ「そんな無茶な。光ファイヴァーで繋がってるわけじゃないんですよ。か弱い通信しかないのに、そんな複雑な動きを要求するプログラム組むなんて無理です」

川口「無理とかそんな問題じゃない。やるか、やらないか、だ。そして俺はヤレと命令する」

リツコ「命令とあらば。でも失敗しても私たちがはやぶさ殺したって事にしないでよ」

ミサト「失敗したら、その場でシね!」

マヤ「うう。私の箇所でミスったらシンじゃいます」

真田「その時は俺も死んでやるから、心配すんな」


川口「しかしアレだな。ここにきてはやぶさが帰りたくないと意思表示してるようにも感じるな」

真田「総司令。。そのフリはまだ言わない約束です」

川口「そうだな、皆、よろしく頼む」


リツコ「AとBである必要があるのかしら。マヤ、四つのスラスタの駆動時間は?」

マヤ「Bが9600、Cが8000、Dが15000でAが10時間です。ただしCに関しては2007年までのもので、実際は最多だと予想されます」

リツコ「AとBしかないわけね。地球までの距離は?」

マヤ「現在、火星近くを航行中。地球までおよそ1億6千万」

リツコ「必要デルタV2200に対し、残り200か。消費電力ガス共に2倍になるけど、いけそうね」

ミサト「何言ってるか分からないけど、やれるのね」

リツコ「いくつかに分けてプログラム送信するわ。あの子が指示通り動けばいけるはず」

真田「指示通り動かない場合も想定して組め」

リツコ「どんだけの手間になるか理解されてるんですか」

真田「理解などしておらんが、お前のキータッチ一つ一つに血税がかかっている」

リツコ「では組みますが、真田副司令の設計ミスの可能性は? そこで間違っていれば意味ありませんから」

真田「設計には万全を期した。万が一にも対処できるようにな」

リツコ「・・・・・・ならば、問題ないですね」

マヤ「本当に大丈夫なんですか。こんな裏技を火星のはやぶさに施すなんて。部屋のファミコンにするのとレヴェルが違いますよ。カセット斜め差しとは次元が違いすぎます」

ミサト「あんたの喩えのレヴェルもどうかと思うけど。。てか何歳?」





幾つものスーパープログラム送信により、はやぶさ、作業開始





カプセル「大丈夫ですか? ちゃんと言われた通りするですよ」

はやぶさ「分かってる、けど。寒い。凍ってる。凍って・・・る」

カプセル「だから太陽で乾かしてから作業しろって言われたでしょ!」

はやぶさ「分かって・・・る。ん、君・・・誰?」

カプセル「ちょww何言ってるんですかwwwメモリクリアですかwwww」

はやぶさ「晩御飯食べたっけ・・・」

カプセル「ボケ老人?? さっき食べたでしょお爺ちゃん!」

はやぶさ「食後のスイーツのオレンジフルーツパッションソルベ&ピンクグレープフルーツソルベアンドクリームがまだな気がする」

カプセル「名前長! これ全然ボケてないでしょ!」

はやぶさ「うーん、今は大丈夫。時々調子悪くなるけど・・・」

カプセル「大丈夫じゃないですソレ! ちゃんと報告してるの」

はやぶさ「うん。経年劣化だって。このニコイチ作業に失敗したら2013年帰還になっちゃうって、更に経年劣化しちゃう」

カプセル「いや、大丈夫ですよ! この作業失敗したらドカンするから!」

はやぶさ「それって全身全霊大丈夫じゃないから! てか君が大丈夫か!」

カプセル「私の事より、作業に集中して下さい」

はやぶさ「んん。中和機と接続してと。これでいいのかな」

カプセル「さて、後は神のみぞ知るってとこかな!」

ミサト「どうなの? うまくいきそう?」

リツコ「ん――、それより誰か外部に情報流したのかしら」

真田「何故だ」

リツコ「某掲示板ではやぶさ駄目かも的な書き込みが増えてるわ」

マヤ「え!」

リツコ「アナタなの?」

マヤ「それが・・・・・・公式のはやぶさ君日記でいつもの枕言葉(今日も、はやぶさ君は地球に向かって順調に航海を続けています)を付けなかったんです」

ミサト「それだけで嗅ぎ付けたってわけ。裏技発表やら記者会見がくるとかESPしてる者もいるわね」

川口「連中が騒ぎ出す前に、ニコイチにて再起動と告知しておけ」

真田「まだ早いのでは」

川口「構わん。成功にしろ失敗にしろいずれ公表せねばならんのだ」

マヤ「了解しました。レス燃料投下しておきます」







ここで余談
JAXAから公式発表やツイッターのつぶやきによるニコイチ作戦は知れれる某掲示板ではお祭りとなった


【宇宙】 「電子回路は、万一に備え“エンジン間をつないでおいた”ものだった」 〜探査機『はやぶさ』、奇跡の復活 予定通り帰還へ
と、
いうスレが科学板では異例の9スレまで展開し、


「なんということでしょう! 
匠はイオンエンジンBのイオン源とイオンエンジンAの中和器とで
エンジンを起動させたのです!」

という名言を生んだ

日本人の気質なのかタッチダウン成功時よりもこの危機的状況脱却の瞬間のが
注目されここで一気にはやぶさの認知度が上がった

ここからはやぶさ帰還カウントダウンが始まり始まり!


地球へに続く


posted by はやぶさ at 22:58| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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