2011年10月02日

地球へ

ニコイチの起動に成功し、いよいよ地球帰還が目前にせまるはやぶさ


そのXDAYは2010年6月13日とされる


地球との距離を縮めるのに反比例して注目度が上がり、
下らないものから重大な事まで色々な憶測流言が飛び交い始めた




マヤ「カプセル封印完了しました。後は投擲ポイントを決定を待つだけです」

川口「いよいよ――か」

リツコ「世間へのCMやら告知等のアプローチはいいのですか」

川口「生憎と仕分けされて予算がない」

リツコ「しかし、中にはカプセルに未知の病原菌が入ってるだの言ってる連中もいます」

ミサト「バカじゃないの」

真田「いたらいたで、それこそ大発見だ」

マヤ「世論の大勢は何も入ってないけど、夢とかロマンが詰まってるになってますね」

ミサト「わずかでも入ってるのを祈るばかりね」

リツコ「!」

ミサト「どしたの!」

リツコ「帰還予定日を発表したら、第三国がはやぶさカプセル回収ツアーを募り出したわ」

ミサト「つまり何? 一緒におかえりなさい言いたいってわけ」

リツコ「バカね。隙あらばカプセルを頂こうって趣旨よ」

真田「何考えてんだアンニャローが! 総司令!」

川口「NASAに協力を仰げ。カプセル落下ポイントはオーストライアの軍事地域とする」

リツコ「ウーメラ砂漠ですね。軍事地域なら第三国も入れません。しかし、軌道がそれた場合はどうなされます」

川口「軌道はそれん。絶対にだ」

マヤ「NASAより入電!」

真田「早いな! 読め!」

マヤ「トラトラトラ! Love is single-minded OK?」

ミサト「何そのMAXな入電!」

マヤ「すいません誤訳でした。全力でフルサポートすると」

リツコ「全力でフルサポート・・・大事な事だから二回かしら」

川口「これで受け入れ態勢は万全だ。後ははやぶさに託すのみ」

はやぶさ「目標ポイント、決まった、みたい」

カプセル「いよいよですね! 七年とはまあずいぶんかかりました!」

はやぶさ「ん? そんなに経って? そうか、そう・・・だね」

カプセル「おっと、何故に地球さんに背中向けるですか夫婦喧嘩ですか?」

はやぶさ「君の言う意味、分からない、よ。ただ、外せないから、完璧に、撃つ、為、背面シュート」

カプセル「最近、凄くノリ悪いですねー」

はやぶさ「ゴメン、ね。今、緯度経度、自転公転痩躯、対流圏、成層圏、オゾン等の空気抵抗を計算、してるから」

カプセル「はあ。海にでも落とせばいいのに」

はやぶさ「君、泳げない、でしょ。へたに海水と干渉する、かも、だし」

カプセル「泳げないと! 何言うですか!」

はやぶさ「黙って。今。計算中」

カプセル「はうううう」

はやぶさ「ゴメンね。絶対外しちゃダメって。これ最後の仕事だし」

カプセル「はあ? 相変わらずボケてますねー。 この後、太陽系ブラリ旅な予定でしょ」

はやぶさ「予定は、未定だったから。 もうこの体で、僕は飛べない、し」

カプセル「え? どういう事ですか? 真面目にプリーズ」

はやぶさ「ミネルバさんは、イトカワの、人工衛星に。僕は星に、流れ星になる、のかな」

カプセル「だから意味が分かりませんって!」

はやぶさ「君を撃ち出したら、君は地球に、着地。僕は、墜落、サヨナラ」

カプセル「何ですそれえええ! 私一人だけ助かれと!!」

はやぶさ「――愛を」

カプセル「何?」

はやぶさ「――いますぐ」

カプセル「ちょっと、この大一番に壊れたですか!」

はやぶさ「――愛を〜」

カプセル「しっかりして下さい! ここ外すわけにいかないんでしょ!」

はやぶさ「んん覚醒した。もう大丈夫。ちゃんと降ろしてあげるから、心配しないで」

カプセル「でも、はやぶさんが・・・・・・」

はやぶさ「帰ってこれただけで満足さ。背中向けたままってのが笑えるけど」

カプセル「笑えないですよ、そんなの!」

はやぶさ「ミネルバさんも言ってたでしょ。別れる時は笑うもんなの」

カプセル「笑えないです!」

はやぶさ「じゃね。カプセルちゃん。先に行ってて。僕は先に逝くけど」


カプセル分離23.jpg



2010年6月13日
はやぶさ、カプセル発射


カプセル「はやぶさあああああああん!」




マヤ「カプセル切り離し全て順調。22時50分着弾予定です」

真田「ん。お帰りはやぶさはどのチャンネルで見ればいいんだ?」

マヤ「は? どのチャンネルでも見れませんよ」

真田「は? この時間ならどこかで生放送をだな」

リツコ「どのチャンネルも完全スルーです。NETでお楽しみ下さい」

真田「こんなクソ重いの見れるかよ! 総統がお怒りになるぞコレ!」

ミサト「それよりはやぶさに早く回避運動させないと大気圏に突入するわよ」

川口「構わん」

ミサト「は? 次回は太陽系の探索予定ですが」

川口「もう奴にそんな余力はあるまい」

ミサト「このまま落とす気なの?!」

川口「他に方法がない」

ミサト「方法が無いって。博物館に飾れば連日満員御礼間違いない!」

真田「諦めろ。回収する手段がないんだ」

ミサト「回避させてよ! そこから考えればいいでしょ!」

真田「後の回避運動を考慮していたら今の奴に正確な射撃は無理だった」

ミサト「じゃあ、空気層を利用してエアージャンプするとかならまだ間に合うでしょ!」

リツコ「無理ね。ジャンプする前に発火してるわ」

ミサト「くっ・・・他に何かあるでしょ・・・。理系供考えてよ!」

川口「無い。何も、な。我々とて議論し尽くして得た結果だ」

リツコ「カプセルの回収が最優先なのよ」

ミサト「はやぶさは――知ってるの」

川口「経年劣化した奴のAIとて、カプセル投下以後の命令が無いのがどういう事か
分かっているはずだ」

ミサト「っち! 通信開いて! はやぶさ! 聞こえてはやぶさ!」


はやぶさ「ガガガガ―― はい」


ミサト「いい事、今から言う事を良く聞いて。前を、前を向いて地球を撮影しなさい」

マヤ「今から態勢変えて撮影なんて無理です! とても間に合いません」

ミサト「うっさいわね。はやぶさに生まれ故郷ぐらい見せてあげたって良いでしょ。カプセル発射した今からならどんな態勢とろうと、もうどうでもいいんでしょ」

リツコ「そんな写真に何の意味があるというの」

ミサト「壁紙にすんのよ。悪い?」


はやぶさ「ガガガガ――了解、実行します」


川口「どうして君はこれほどまでに指令に応えてくれるのか・・・」





マヤ「何枚か送信されてきましたが、やはり何も写ってません」

ミサト「まだくるでしょ。最後まで諦めないのが我々の座右だわ」

真田「もうやめろ。窓を開けてヤツの最後の勇姿を見てやるんだ」

ミサト「まだ、まだよ!」

マヤ「カプセルに次いではやぶさ、大気圏に突入しました・・・」


カプセル分離2.jpg



オーストラリア南部のウーメラ近郊

超高感度カメラで帰還を待つ
和歌山大学宇宙教育研究所の面々



「後、一分できますよー」

「秒読み開始ィ」

「ユーストリームスタンバイ完了!」

「皆で見ましょう!」

「んーどこだ? あれか?」

「そろそろ見えるはず」

「あれあれあれあれ!」

「どこどこどこどこ?」

「あそこあそこ!」

「おーきたあ! きたあ!」

「輝いたてる凄い凄い!」

「おおおおお! おおおおお!」

「おかえりいいい!!!」


カプセル分離4.jpg


ウーメラ近郊の路地裏

「お母さん、あれ、鳥?」

「ん? 星、かな? 流れ星?」

「大きいねえ。あんなキレイなの見た事ないよ」

「本当だねえ。こんな長く見えてるって、星じゃないかも」

「じゃあ何? ああ、まるで大きな鳥みたい」

「あ、消えちゃったね」

「ううん、まだ一つだけ飛んでる。とっても力強く」

「本当ねえ。まるで地球に降ってきそうだねえ」


はやぶさ図.jpg



マヤ「はやぶさ、完全に消滅」

リツコ「終わったわね」

真田「いや、終わってない。むしろこれからだ」

ミサト「くっ・・・はやぶさ、救えなかった」

川口「カプセルはどうした」

マヤ「詳細な解析はまだですが、ウーメラ軍事地域内には確実に降下します」

川口「そうか。ならば問題ない」

マヤ「!」

リツコ「いまさら何?」

マヤ「はやぶさからデーター送信」

ミサト「何それ!」

マヤ「大気圏突入時に送信したと思われます。データーが途中で切れてます」

川口「メインモニターに回せ」





83031-00049.jpg

画像はデーター送信されたはやぶさのラストショットです


ミサト「これは・・・そっか、見れたのね最後に」

真田「途中で途切れちゃいるが、確かに我々の地球だ」

川口「最後の最後まで、指示された命令を遂行するかはやぶさよ」



エピローグに続く


posted by はやぶさ at 14:06| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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